発達障がいの診断に至るまでに、受けてきた4つの検査

我が子の発達に何か課題があるかもしれないと思ったとき、具体的にどんな検査を受けて診断に至るのでしょうか。
発達障がいが疑われるときには、その子どもの状況によって受ける検査は様々です。

このページでは、わらピーが最初の診断名:精神発達遅滞(後に、重度の知的障がいと自閉症スペクトラム症にかわりますが)が付くまでに受けてきた検査について、ご紹介します。
もし、これから検査を受けようかなと思っておられる方や、一般的な発達検査は受けたことはあるけれど、他の検査を受けた事はないという方など、参考にして頂けたらと思います。

1:脳波検査と聴力検査

名前を呼んでも振り返らない、呼びかけにも反応しないという特徴から、まずは耳の聞こえがきちんとできているかどうかを疑いました。
一般的に、出生後すぐに、耳のスクリーニング検査を受けます。
わらピーもこのスクリーニング検査は受けていて、その時の結果は良好で耳はきちんと聴こえていました。
ただ、この時の検査をクリアしていても、その後、中耳炎の後遺症で難聴ぎみになったり、後天的に難聴を発症することもあるため、もう一度検査をしましょうという事になりました。

1歳半での聴力検査

わらピーがこの聴力検査を受けたのは、1歳半の時でした。
私たち大人が、学校などで受けてきた一般的な聴力検査は、乳幼児期のこどもにはできないので、睡眠導入剤入りのシロップを飲ませ、完全に眠った状態で、脳波を調べる事によって聴力があるかどうかを調べる、という検査をすることになりました。
完全に眠った状態で、色々な周波数の音を耳元で流し、もし耳が聴こえている場合は、脳波に耳が音を感知している事を示す波形が現れます。
逆に、音を感知できていない場合は、脳波には何の変化も現れません。

この検査では、聴力がある事を示す波形があるかどうかを見るのと同時に、脳波の波形に異常がないかどうかも調べることになりました。

脳波の波形に異常がある場合というのは、多くの場合は、てんかんの兆候があるかどうか、という事だそうです。
現状の医学では、自閉症やその他の発達障がいなど、脳の機能障がいを示す脳波の特徴というのは解明されておらず、今も研究が続けられています。
脳波の特徴が少しでもわかれば、発達障がいなどの早期発見の一助になるのではないかと思います。

聴力・脳波とも異常なし

検査の結果は、検査の診断医の先生の元で精査され、約2週間後に出ました。

結果は、聴力・脳波ともに異常なし。
耳もしっかりと聴こえており、脳波にもてんかんなどを示す兆候は表れておらず、ごくごく一般的な波形のものであるという事でした。

とりあえず異常がなかったという事で安心しましたが、わらピーの発達の困難さの原因はわからず仕舞いで、振り出しに戻った感じでした。

2:成長ホルモンの分泌が正常かを調べるための血液検査

次に疑ったのは、成長ホルモンが正しく分泌されているかどうかでした。

わらピーは双子として産まれていたこともあり、一般的な同じ月齢のこどもに比べて小さめでした。
出生時は、ぎりぎり2500グラムを超えていて、低体重児ではなく、正常児として産まれていました。
しかし、その後の成長曲線が思うように伸びず、体重・身長共に、常に平均値グラフの幅から外れた、下の方で推移していました。
小さくても、成長曲線がゆるやかな右肩上がりであれば問題ないのですが、わらピーの場合は、平行もしくは若干、右肩下がり(つまり、体重や身長が増えずに逆に少し減っている)気味でした。

そこで、わらピー1歳8カ月頃に、成長ホルモンが正常に分泌されているかどうかを調べるために、血液検査を行う事になりました。

体をぐるぐる巻きにされて、大人約5名に押さえられての検査

この頃のわらピーは、こちらの言っていることは全く通じず、もちろん病院も大嫌い(笑)
成長ホルモンの分泌を調べるための血液検査には、色々な数値をはかるために、通常の単純な血液検査よりも多くの血液量が必要でした。
そのため、一定時間じっとしていなければならず、私一人が抱きかかえた状態では不可能でした。

そこで、ネット上のものでわらピーをぐるぐる巻きにして、主治医の先生、看護師さん、他の小児科の先生など総勢5名ほどでわらピーを押さえての血液採取となりました( ;∀;)
母親の私は、我が子が拘束された状態で泣き叫ぶ様子をみるのは辛いだろうからという事で、待合室で待っているようにと言われました。

わらピーの泣き叫ぶ声が、小児科の待合フロアに響きわたっていました。
想像はついていた事ですが、実際この待っている時間は胸が張り裂けそうな思いでした。
でも、病院の先生や看護師の皆さんは、わらピーの対応だけでも大変だったと思うのですが、母親の私の事も、とても気遣って下さり、なんとか検査を終える事ができました。

成長ホルモンの分泌は正常

わらピーから採取した血液を血液検査センターに送って、結果がでるまで2週間。

結果は全項目、すべて正常でした。

主治医の先生からは、結果が正常である事はまず喜ばしい事であるということ、原因がわからなくても気落ちせずに様子を見守っていきましょう、と励ましの言葉を頂きました。
この時の私は、「はあ、また原因がわからなかった、、、わらピーはなんでこんな状態なんだろう、、」と、更なる不安でいっぱいでした。

3:発達検査―新版K式発達検査2001ー

1歳10カ月。
ここにきて、ようやく発達検査を受ける事になったわらピー。
というのも、発達検査は、早くても1歳半をすぎないと受けられないものが大半だったからです。
発達検査を受けられる年齢に至る前に、それまでに疑わしい項目は調べておこうと、聴力・脳波・成長ホルモンの検査をクリアしてきたわらピー。
ついに、発達検査を受ける時がやってきました。

新版K式発達検査2001とは

わらピーがこの時受けた発達検査が、新版K式発達検査2001というものでした。
発達検査には様々な種類があり、受ける年齢(大人用の発達検査もあります)によって、その形式は違います。
他の種類については、こちらに一覧をあげていますので、宜しければご参照ください。

こどもが生まれて受ける検診に、一か月検診、一歳半検診というものがあると思いますが、この検査は一歳半検診に少し近いものがあるかもしれません。
この検査は、臨床心理士さんによって行われます。
検査の前半は、心理士さんによる母親への聞き取りです。
質問の内容は、普段のこどもの細かい様子や発育経過など、多岐にわたります。
以下に少し具体例を挙げておきます。

  • こどもの様子:呼びかけに応じるか、指差しがあるか、発語があるか、睡眠はきちんととれているか、偏食はあるか、感覚に過敏があるか、人見知りをするか、場所見知りをするか、手をつないで歩くか、他者への興味があるか、など。
  • こどもの遊びの様子:一人遊びを好むか、ごっこ遊びをするか、あやすと喜ぶか、おもちゃの遊び方(そのおもちゃの想定されている遊びができているか、それとも本人独自のルールで遊んでいるか)、公園で遊具などで遊ぶか、など。
  • 発育の経過:首すわり、ハイハイ、つかまり立ち、歩き始めのそれぞれの時期。病気の既往歴(けいれんや川崎病などの大きな病気の有無)など。
  • こどもの体の発育状態:ジャンプができるか、階段をひとりで上り下りできるか、くるくる回る事がよくあるか、など。

私への聞き取りの後、次はわらピーに簡単なおもちゃや絵カードなどを使って、知的発達の検査をしました。
ここでやったことは、自治体の保健センターなどで、集団で受ける1歳半検診と同じような事でした。
結局わらピーは、ぐずってばかりでほとんどできませんでした、、、(笑)

現状の発達は、現年齢から1年遅れの10カ月くらいとの結果

私への聞き取りと、わらピーへの知能検査の結果を点数化して、現状のわらピーの発達状況の結果をだしてもらいました。

結果は、現年齢1歳10カ月から一年遅れの月齢10カ月頃の発達状況である、というものでした。

主治医の先生からは、この頃の1年遅れというのは、まだ個人差があって様子を見ていてもかまわない。
でもわらピーの様子からして、集団生活には早めに入れて、他者との関わりをもっと持ったほうが良い、と言われました。
この時の私は正直なところ、双子でかつ2歳年上にお兄ちゃんがいるわらピーに、刺激が足らないのか?と疑問をもちました。
主治医の先生曰く、身内以外の他者との接触機会を増やして、コミュニケーションを自分から取りにいこうとする機会を増やした方がよい、ということでした。

私はこの結果を受けて、診断名が付く前でしたが、わらピーの発達障がいを疑って、わらピーに対して何ができるのか、療育やかかわり方など、色々と調べるようになりました。

4:CT検査

発達検査を受けて約半年後に、一応脳の検査をしておきましょうという事で、2歳4カ月頃にCTを取ることになりました。
わらピーは2歳をすぎて、宇宙語のようなものはたくさん出てきていたのですが、意味を成す単語が何一つでていませんでした。
そこで、単語がないのは、脳に水がたまっていたり腫瘍等があって、それが脳の言語野を圧迫している可能性もあるので、疑わしい可能性を一つでもつぶすために、CTを取りましょうという事になりました。

座薬タイプの睡眠導入剤を挿入し、完全に眠った状態でCT撮影

この頃のわらピーは、薬を極端に嫌がり、得体のわからない飲み物は完全拒否の状態でした。
そこで、今まで検査で使っていた眠剤入りのシロップはあきらめ、座薬をおしりからいれることになりました。
これがまた、何をされるかわからないので、病院のベッドで大暴れでした。
座薬を入れた後も、得体のしれないものをおしりにいれられ、その上見たこともない部屋に連れていかれたものですから、中々寝てくれませんでした。(涙)

抱っこすること、1時間。
看護師さんに、あと30分で寝なかったら、今日の検査はあきらめて、後日仕切り直しましょうと言われてしまいました。
私はわらピーの双子の妹を実家に預けて、日程と時間を調整し、かつここまで泣き暴れるわらピーを必死に抱っこして寝かそうと全力を注いできたので、ここで中止にしてなるものかと思って、祈るような気持ちでわらピーを抱っこし続けました。(笑)
私の必死の祈りが届いたのか、タイムリミットぎりぎり5分前で、すとんと寝落ちてくれたわらピー。
その後は、子供用のCTガウンに着替えて、看護師さんに抱っこされて無事に撮影をすることができました。

いやあ、本当に、本当に、検査ひとつ受けるだけで、親も子も疲労困憊した一日でした。

病的異状はなし。ただし、小脳のサイズに問題あり。

CTの病理診断医の先生の精査の元、約2週間後に結果がでました。

結果は、心配していたような病的な要因は何一つなく、問題なしでした。

しかし、一つ気がかりな箇所が。
わらピーの小脳は、普通のサイズに比べてやや小さめとの事。
病的なものではなく、心配になるほどの小ささではないが、精神発達遅滞の子にちょくちょくみられる小脳のサイズ感との事。
現代の医学では、小脳のサイズと発達障がいとの関連性はまだはっきり解明されているわけではないが、兆候としては報告されており、今も研究がなされているとの事でした。

5:診断名<精神発達遅滞>

CT検査の結果を受けて、初めて先生の口から<精神発達遅滞>という言葉が出てきました。
この診断名は、上の図でいうと、知的障害にあたる部分です。

この頃の私はというと、前回の発達検査から、自分で色々と発達障がいについて調べていたので、わらピーにはもしかしたら何らかの発達障がいがあるのかもしれないな、と心つもりはできていました。
しかしいざ、病院の先生から診断名を聞かされると、ハンマーで頭を後ろからガーンと殴られたような衝撃と、胸の鼓動が自分の耳元でしているかのような動悸を感じました。

そうか、やっぱり。
そうだったんだ。
これからどうしよう。
どうしたらいいんだろう。
ありとあらゆる負の感情、不安、心配、悲しみが次から次へと押し寄せてきて、先生の声が遠くの方でぼんやりとしか聞こえていなかったような気がします。

主治医の先生は、できるだけ私がショックを受けないように、注意深く言葉を選びながら、わらピーの状態やこれからわらピーに対して何をしていったらいいのか、家での過ごし方や受けられる行政サービスなど、とても丁寧に説明してくださいました。

ここから、私とわらピーの次のステージが始まりました。

まとめ

いかがだったでしょうか。
わらピーが<精神発達遅滞>の診断名がつくまでに、受けてきた検査44項目についてご紹介しました。

我が子の発達障がいを疑ったときに、受けられる検査は発達検査以外にも結構あるんだなと思われたのではないでしょうか。
少しでも気になる事があれば、かかりつけのお医者さんやお住まいの自治体に相談して、検査について問い合わせてみてください。

可愛い我が子の障がいを受け入れるのは容易ではありませんが、少しでも早く、我が子の困りごとや不得意なことに気が付いてあげられることは、お子さんが健やかに成長していけるために親ができる事の初めの大きな第一歩です。受けられる検査がたくさんある事を知って、少しでも参考にして頂ければと思います。